本来の財産とみなし財産
相続税が課税される財産には「本来の財産」と「みなし財産」があります。
本来の財産とは被相続人(死亡された方)が死亡時に所有していた財産のことです。これは被相続人の名義となっている資産はもちろんのこと、家族の名義になっている資産でも、その拠出を被相続人が行っている場合はその資産も含まれます。
例えば、家族の名義を借りて預貯金の預け入れをしている場合や親族の名義を借りて不動産・有価証券の購入をしている場合などです。
みなし財産とは被相続人が死亡時に所有していなかった資産を相続財産とみなすというものです。例えば、死亡保険金や死亡退職金などです。
死亡保険金や死亡退職金などは、本来の財産とは異なり被相続人が死亡時に所有していたものではなく、死亡に起因して遺族等が受領すべきものです。これを所有財産と同じ経済的利益が生じていると考え、相続財産に含めるのです。
みなし財産の種類
みなし財産とは被相続人が死亡時に所有していなかった資産を相続財産とみなすものです。代表的なものは以下のとおりです。
①死亡保険金
被相続人の死亡によって取得した生命保険金や損害保険金で、その保険料の全部又は一部を被相続人が負担していたものです。
②死亡退職金
被相続人の死亡によって被相続人に支給されるべきであった退職手当金、功労金その他これらに準ずる給与を受け取る場合で、被相続人の死亡後3年以内に支給が確定したものです。
③生命保険契約に関する権利
被相続人が保険料を負担していた生命保険契約で被相続人以外が被保険者の場合等、相続発生時にまだ保険事故が発生していないものです。例えば、契約者と被保険者が妻で、夫が保険料を負担していた場合、夫の死亡時に保険金は支払われませんが、積み立てた保険料は妻に移転するため相続財産とみなされます。
④定期金に関する権利
被相続人が掛金や保険料を負担していた郵便年金契約などの定期金給付契約で、相続開始時において給付事由が発生していないものです。
⑤保証期間付定期金に関する継続受給権
被相続人が掛金や保険料を負担していた郵便年金契約などの定期金給付契約について支払保証期間が付いている場合、被相続人の死亡後に遺族に対して支給される一時金や定期金のことです。
⑥契約に基づかない定期金に関する権利
被相続人の死亡によって受ける定期金に関する権利で、契約に基づかないもののことです。例えば、被相続人に支給されていた退職年金で死亡後に遺族が継続受取人となるものです。